書評『好きなようにして下さい』楠木建 著
<引用>
仕事に関しては個別具体的な目標や計画を持たないようにしています。
自分が面白がれるかどうか。乗ってできるかどうか。「機が熟した」かどうか。
そうした自然な”ヴァイブス”や”グルーヴ”、要するに「ノリ」を何よりも大切にしてこの年までやってきました。
結局は「がんばろうぜ」になる相談
言い得て妙です。仕事やキャリアに限らず、およそ個人的な人生相談というのは
この川柳の示すところに行き着くというのがものの道理です。
しょせん人間はなるようにしかなりません。
あなたは根本のところで間違っています。それは、自分の仕事を考える時に、「仕事」ではなく「環境」を評価しようとしているということです。
仕事を選択しようとしている以上、仕事の内実が基準になるべきです。環境評価、環境比較には大した意味はありません。
いい時も悪い時も理由を環境に求める。これではいい時も悪い時も悪い方向に転がっていきます。
一方的にいい話なんてどこにもない。物事には必ずプラスとマイナスがあります。
年を取ると、世の中の九割は思い通りにいかないことがわかってくる。
やはり人間は、自分のことが一番好き。僕もそうですが、自己愛は人間の本性です。
<書評>
一橋大学教授である楠木建先生の『好きなようにしてください』という本を読みました。人から頂いたものです。自分の仕事に対する姿勢やキャリア観を見つめなおす上では非常に参考になる本だと思いました。
NewsPicksという経済・ビジネスニュースのキュレーションサービスにおいて、連載された「楠木教授のキャリア相談」50件分をまとめたものです。
個人的には楠木先生の仕事に関する「ゆるい感じのスタンス」は好きです。
全編を通じて、引用した部分にあるようなゆるい感じのスタンスで相談者からの質問に回答されていきます。でも分析・指摘には唸らされるところが多いのです。
今日は1件目の相談から私がハッとしたところを引用しました。
10年前の自分に聞かせてやりたい言葉が並んでいます。私は10年前はまだ新入社員でしたが、自分が仕事でうまくいかない、成果を出せない原因を配属された部署のせいだったり、そりが合わない上司のせいにしていましたね。つまり、原因を環境に求めていました。
ここでは自分は実力を発揮できないという不満を抱えながらも、配置転換を上司に訴えるでもなく、数年間その部署で悶々としながら仕事をしていました。
入社当初に配属された部門は、名称は立派ですが、内実は地味で、仕事は私にとっては面白いと思えるものではありませんでした。そうだったら、もっと早く異動願い出すなり、転職するなりしていればよかったじゃないか、と今になって思います。
結局、環境のせいだったり、他人のせいにする他責の思考回路にどっぷりと漬かっていました。
振り返ってみて、当時は思いもよらなかったけれど、今はそのことに気付いている、というのは少しばかり成長した点だと思います。
「環境決定論」に囚われないように注意していく。「他責」ではなく「自責」で考え、行動していく、というのはこれからも気を付けていきたい点ですね。
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