書評『伝え方が9割』佐々木圭一 著
<引用>
「ノー」を「イエス」に変える技術の答えは、相手の中にあります。
「お願い」は、あなたのコトバではなく、あなたと相手の共作なのです。あなたのハッピーと相手のハッピーをいっしょにつくりあげることなのです。
この技術を実践することは、あなたの未来を変える可能性があります。
でも、忘れないでください。この技術は、決して楽勝で人生を過ごす技術ではありません。そう思った瞬間、うまくいかなくなります。これは相手のことを想像する技術、言い換えれば、相手への愛情を表現する技術です。
「感動」というヤツは、つかみどころがなさそうに見えます。右脳的で、感情的で。突然天から降りてくる、偶然の産物のようにさえ感じられます。 「感動」をつくるなんて、ありえないと感じられるかもしれません。だけど一般には知られていないレシピがあるのです。
何ごとでもプロとアマの違いは、常に成果を出せるかどうかです。アマでもとびきり上手に天ぷらを揚げられることもあると思います。ですがそれは、次回できるとは限りません。プロは今日も明日も明後日もとびきりの天ぷらを揚げます。
強いコトバをつくるのに必要な、 「コトバエネルギー」をどう生み出すか?その方法は、ジェットコースターの原理と同じです。コトバに高低差をつけてあげれば、エネルギーは生まれるのです。
例えば、 「あなたが好き」より「嫌いになりたいのに、あなたが好き」のほうが高低差があります。
いつかどこかで起こる、大勝負だけのために、コトバを磨くのではありません。たった今、あなたの生きているこの瞬間を輝かせるために、人の心を揺さぶるコトバを知っておいてほしいのです。これから発するひとつひとつのコトバ、書くメールが変われば、相手の反応が変わります。あなたの人生も変わるのです。
<書評>
コトバの力、つまり聞き手に与えるインパクトをエネルギーの高低差で解説するところが面白いと思いました。
この本を読まれた理系の方なら誰でも、高校生の頃に物理の授業で習った「エネルギー保存の法則」を思い出されたのではないでしょうか。
これは、ざっくり言うと、高い所に停止しているジェットコースターの持っている位置エネルギーは、地上まで下ってきた時のジェットコースターの運動エネルギーと等しくなるという法則です。高低差があるほど、降りてきた時のジェットコースターのスピードは速くなります。
この著者の方も、元々は理系(機械工学)のご出身のようですから、当然、「エネルギー保存の法則」はご存知だったはずです。
それを、全くの異分野であるコトバとの間に、「エネルギー」という共通点を見出すことで、結びつけられています。それにより、強いコトバの作り方のレシピをとても分かりやすく説明することに成功されています。
「ある何か」と、それに一見何の関係もない「別の何か」の間に共通点を見出して、そこを切り口に「ある何か」を解釈する。すると新しい理解が生まれる。この発想と方法は取り入れていきたいところです。
でも、よく考えると私達も、これと同じことをよくやっていますね。
例えば、何かの飲み会やイベントで「初対面の人」に会った時です。初対面の人と話す時は、相手のことについて色々と質問しますよね。そしてたまたま、相手の出身地と自分の出身地が近かったりすると、そこから一気にローカルトークで盛り上がり、仲良くなれたりすることがあります。
これは「出身地」という共通点を切り口に、その相手を解釈、理解しているということです。
理解したい対象が人の場合は、直接質問すれば何かしらの回答を返してくれます。では、コトバや現象のように、明確な答えが返ってくることを期待できない物事を理解したいと思う場合、私達は何ができるのでしょうか?
それでもやはり、その理解したい対象に対して「問いを投げかける」ことが大切なことだと思います。
もちろん、明確な答えは返ってきません。それでも、問いを投げかけると、脳がその答えを必死で探し出そうとするのです。そこから試行錯誤が始まります。
加えてできることとしては、この本でコトバにに対して「エネルギー保存の法則」(本文中で明記されていませんが)を持ってきて当てはめた事例が参考になります。
それは、自分の道具箱を整理整頓して、中に入っている道具をいつでも取り出せるようにしておくことです。これまで学んできた知識であったり、考え方のフレームワークであったり。
仕入れたそれらの道具は「使ってナンボ」のものです。大切にしまったまま、道具箱の中で錆びついてしまってはいないでしょうか。
これまでの人生で、私達がまがりなりにも学んできたことは、私達の抱える課題を解決するために必ず役に立ってくれるはずです。ちゃんと手入れしておけば。忘れてしまっても、思い出せるようにしておけば。
自分と相手とのハッピーを共に作り上げるという考え方はとても素敵ですよね。そんな時のためにも、私は自分の道具箱をしっかり整理整頓しておこうと思い直しました。
<今日の読書を行動に変えるための
個人的チャレンジシート>
1.この本を読んだ目的、ねらい
・うまく自分の意思を伝えて、相手に行動してもらうための方法を学ぶ
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・「お願い」は相手と幸せを合作することであるという考え方を学んだ
・コトバの力をエネルギーの高低で考えることを学んだ
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・今回学んだ方法に従い、普段から言葉を意識して放つ練習をする
そのために、話す前に間をおいて相手のことを考えてみる
・ 自分の知識の道具箱を整理する
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・今よりもたくさんのハッピーを人との間に作り上げられるようになっている
・ 今よりも気づかいができるようになっている
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