書評『「超」入門 失敗の本質』鈴木博毅 著

書評, 思考法・考え方, 歴史日本史

「超」入門失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ[本/雑誌] (単行本・ムック) / 鈴木博毅/著

<引用>

一つだけはっきりしていることは、「戦略」が明確であれば目標達成を加速させる効果を生み、逆に曖昧ならば混乱と敗北を生み出すことです。

『失敗の本質』で指摘される日本軍の迷走から見えること。その一つは、「目標達成につながらない勝利」の存在です。

先に、日本軍が駐留した二五の島のうち、米軍が上陸占拠したのはわずか八島にすぎなかったと書きましたが、逆に言えば残りの一七島は、米軍の侵攻を阻止する役割を果たせない拠点だったことになります。太平洋の駐留基地の七割近くが、実は戦略上無意味だったのであれば、日本軍の努力の七〇%もが「目標達成につながらない勝利」に費やされたことになるのです。これでは日本軍が最終的に勝利をつかめないのも無理はないと思われます。

大局的な戦略とは「目標達成につながる勝利」と 「つながらない勝利」を選別し、「目標達成につながる勝利」を選ぶことだといえます。

人類の歴史における最大規模の海戦といわれるミッドウェー作戦やレイテ海戦でも、日本軍は大局的な戦略を待てず、目標達成につながらない勝利を大量に集めてしまい、最終的に米軍に敗れたのだといえます。そうした勝利を大量に集めて最後に敗れる姿は、大東亜戦争の日本軍だけではなく、現代の日本企業がグロ ーバル戦略で敗れる姿にも重なってしまうのです。

<書評>

毎日の小さな行動の積み重ねが遥か遠い目的地まで自分を連れて行ってくれる、そのことは間違いないでしょう。しかし、その小さな行動の一つ一つは、「本当に自分の目標に対して近づくことができる行動なのか」は折に触れて見直さなければならないと思いました。

よく言われるのは、「手段」の「目的化」ですね。例えば会社では月報、週報、日報を書いたりしますが、その目的は、計画に対する進捗確認や情報共有のはずです。 それによって仕事の振り返りを行い、計画に対して遅れているようであれば改善策を検討して実行します。定例の報告の目的はあくまでも「目標を期限までに達成するため」であるはずです。

それが、気をつけていないと、日報や週報などの報告書を書くために仕事をする、日報や月報に書くためのネタを探す、という状態に陥ってしまうことがあります。これでは主従が逆転してしまっており、本末転倒です。

毎日の業務で何を行ったかを逐一記録して振り返ってみれば、目的達成のために今取り組む必要がなく後回しにできる仕事や、そもそもやる必要のない仕事は結構発見できるのではないかと思います。

「目標達成につながらない勝利」を集めることで一時的な満足感や達成感は得られても、中長期的にみて、目標に近づいている感覚が全然持てない。そんなことはないでしょうか?

私の場合はやりたいことがたくさんあって、あれもこれもと手を出してしまい、その全てが中途半端になってしまう、ということを経験しました。結果としてもちろん目標達成もできず、自己評価が下がり、自分に対する鬱屈した感情を増大させることになりました。

反省点は、「自分が将来どうなりたいのか?」「どのように生きたいのか?」という目標を最初に定められていなかったことです。

まず「目標」が定まらないことには、それを実現するための「戦略」も「戦術」も、そしてそれに向かう日々の「行動」も定まりません。結果、あっちへふらふら、こっちへふらふらと「目標達成に繋がらない勝利」を集めながら彷徨い続けることになります。そして時間だけが過ぎていきます。

だから、まずは仮置きでも良いので、「自分の在り方」、「1年後、3年後、5年後、10年後にどうなりたいのか?どうなれたらHappyだと言えるのか?」を考えることから始めてみようと思います。

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「超」入門失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ[本/雑誌] (単行本・ムック) / 鈴木博毅/著

Posted by akaneko